帰路-リアルト橋より-
早朝のゴンドラを描きたくて、初めてヴェネチアに宿を取った日のことです。
昼食に食べたイカスミのリゾットにあたってしまいホテルで休んでいましたが、
夕暮れに少しだけ元気になってリアルト橋に向かいました。橋に登って目に入
ってきた逆光の夕日の美しさと、一日の仕事を終えて船着き場へ帰るゴンドリ
エのシルエットは忘れられない光景です。
スケッチブックもカメラも持っていなかったので何の記録も残っていませんが、
とても深い感銘を受けたので、印象画として描いています。私の絵の中では唯
一同じイメージを追い続けていましたが、今回で最後にしようと今までとは異
なる顔料を選び小作品を仕上げました。少し間を置いて大きめの絵に向かいま
す。今まで30年ほど描いてきた絵は大きさも比率も様々ですが全て親族か友人
たちが預かってくれています。