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2020.10.13 ( Room 43 )
ヴェネチア
私はヴェネチアから列車で北へ30分ほどのトレヴィゾという「水の街」「食の街」で 一族が集まると120人ほどになる家長の家に滞在していました。今にいたるまで家族と して迎えてくれる親交があり今年の春には会いに行こうと計画していたのですが見送 りとなってしまいました。 イタリア滞在の折には必ずヴェネチアに寄り、最古のヴェネチア「トルチェッロ」他  色々なスケッチが残って いますが、いつの頃からか本島ではゴンドラしか描かなくなりました。ゆったりと大 きな和紙を広げてのスケッチにはゴンドリエ達10人ほどに囲まれ、ゆっくり見てくれ たこともありましたが、時間がない時には小さなスケッチブックにサッと描きます。 描写と時間は異なっても思いが入っていることは同じです。今回は1つの小さなスケ ッチを元に製作しました。私は元々 前田青邨の絵に魅了されて日本画の世界に入り、 高弟の先生方に最後の教えを受けた身なので、墨の描線を最も大切にしてきたのですが ここ数年は一切墨を使わず、純黒朱や藍とセピアを合わせた黒を使って製作していまし た。本当に久しぶりに墨を主体とした小作です。 絵は朝昼晩と異なる表情を見せますが、この絵は特に1mと3mから見るのでは驚く ほど異なった印象を受けます。不思議な楽しみです。
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