1984年7月、エンリコ神父の実家、トレヴィゾ郊外のカンニン家に到着。以後35年を越えたイタリアの家族としてのつながりを持ち、私のイタリア料理の根幹となった味を身につけた場所です。
神父は11人兄弟の2男。4年に一度の帰郷の際には、長兄ジョバンニの家に滞在しており、私も一部屋をあてがわれました。カンニン家はその名字の親族だけで120人を超す大家族です。神父の帰国祝いに公民館を借り切ったパーティーは、まるで映画「ゴッドファーザー」の一場面のようで、地元の新聞にも大集合写真がのりました。後に何度もイタリアに渡っていますが、結婚式や野外パーティー、地域のボランティアパーティー、ぶどうの収穫祭等々、100人を超す食事会に度々参加させてもらい、人のつながりのほど良い強さと楽しみ方を日本の自分の回りでも形にできたらと思ったものです。
3ヶ月とはいえ、家長の家に住んだ私は、多くの親族に招かれておばあちゃん料理、お母さん料理を次々と教えてもらいました。私が料理の修行に来ていると知っているので、「さぁ今日はこの料理を覚えるのよ」と迫力満点の伝統料理の指導です。いくつものワイン生産農家(今では大きな会社になっています)や、近くの村、アーゾロやバッサーノ等にも案内してくれました。
以後、家族や教え子達を連れて何度も何度も滞在したカンニン家。イタリアで二度目の出発点です。
カンニン家パーティー
カンニン家11人兄弟(二人は故人)